約 431,299 件
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1712.html
511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2013/05/23(木) 09 56 43.27 ID GaHPWcsNO 京介「(カチャ)ただいまー」 桐乃「おかえり!! 京介「うわびっくりした!お前なに玄関で待ち構えてんの!?」 桐乃「いいじゃんそんなん!!ねねそんな事より、今日はキスの日なんだって!知ってた!?ねーねー知ってた!?」 京介「あ、ああ。昨日そんなん聞いたような…」 桐乃「やばいよねー。超やばいよねー。特にシスコンの兄貴がいる家庭はやばいよねー」 京介「?なんだかよくわからんが、ほれ」 桐乃「ん?」 京介「帰りに買ってきた。お袋に渡しといてくれ」 桐乃「…なにこれ?」 京介「なにって、キスだよ鱚」 桐乃「へ?」 京介「しかし大仰だよな『鱚の日』なんてよ。大方旬だとかなんとかなんだろうが迷惑な話だ」 桐乃「…」 京介「学校帰りの学生に買わせるなっての」 桐乃「…えーえーわかってましたよ。こいつだし。せいぜいこんなオチだと…」 京介「あ、桐乃」 桐乃「なによっ!?」 京介「(ちゅー)ぷは。わり。ただいまのチュウ忘れてた」 桐乃「!!?///」 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/471.html
112 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 13 26 02.23 ID ZwM46+LX0 [2/4] そんなことより京介とのデートをあやせたんに見られたきりりんが どんな言い訳するか考えようぜ 113 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 13 35 09.34 ID G/ppGK6E0 [2/2] 桐乃「こっ…これはデートじゃなくてその…こ、こ、婚前旅行よっ!」 114 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 13 37 43.30 ID Ag5xaEe9P [3/5] 京介「ちょっ!? い、いくらテンパってるからってホントのこというやつがあるかよ!」 桐乃「え!?」 京介「え?」 115 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 13 46 19.93 ID /8Z5cORTO [3/5] あやせ「えっ、もしかしたらわたしと桐乃との婚前旅行の予行練習を お兄さんが代わりにつとめて下さってるとか?」 116 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 14 22 03.43 ID YyLcVVcM0 あやせたんマジ頭おかしいwwwww 125 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/25(金) 15 53 42.90 ID WM+Yf1bP0 [3/3] 「嫌ッ!嫌ッ!嫌ッ!」 私は昨日、桐乃と交わした会話を思い出して、一人悶えています。 だって、あの桐乃が………あんな変態のモノになるなんてっ! ―――――― 「桐乃っ!」 「あやせ?どうしたの?そんなに慌てて………」 「桐乃………あの変態お兄さんと結婚するって本当!?」 「う、うん。さすがに役所に届けるのは無理なんだけど、 式を挙げて、これからの二人の新しいスタートにしようって♪」 「そ、そんなぁ………」 ―――――― あんな………幸せそうに、お兄さんのモノになる事を………受け入れるなんて……… 私の………私の桐乃だったのに……… どうしよう? どうやったら桐乃を取り戻せるんだろう? あんな………変態お兄さんに桐乃をあげるわけには行きません! 桐乃とお兄さんは兄妹だから、本当の意味では結婚してない? だ、だったら私が桐乃と結婚!………ううん、それは無理。 日本の法律だと、兄妹の結婚も出来ないけど、同性結婚も出来ないし……… そ、それなら、お兄さんと私が結婚!? お、おえっ………吐き気がしてきました……… いくら桐乃と姉妹になっても、あの変態の妻とか、死んでも御免です。 えっ?姉妹………? そうだ。姉妹になれば………いいんだ! 「こんにちは、桐乃の事でちょっと相談があるんです。」 私は計画を実行するため、桐乃の家を訪れました。 私を出迎えてくれたのは、桐乃のお父さん………実に好都合です。 「ふむ。娘の事なら仕方あるまい。話を聞かせてもらえるかな?」 「それじゃあ、お邪魔致します。」 桐乃のお父さんは、本当に威厳のある人で、 正面から見据えられるだけで、体が萎縮してしまいそうです。 でもっ!そんなことに構ってはいられません。桐乃の………危機なんですから! 「単刀直入に申します。桐乃を………私に下さい!」 「ぶふぉっ!?」 あれ?何か間違えましたでしょうか? 「あ、新垣さん、だったかな?い、一体、君は何を言ってるのか分かってるのかね?」 「はい!桐乃がお兄さんのモノになるなんて耐えられません! だから、私が守ってあげないといけないんです!」 「何か誤解があるようだが、あれはあの二人で決めたことだ……… いまさら俺の出る幕ではない。」 もうっ!親なんだから、もっとあのお兄さんの変態性に気がついていいじゃないですか! 「桐乃があの変態の毒牙にかかってもいいんですかっ!?」 「ど、毒牙!?」 「きっと、あの変態お兄さんの事です。式を挙げたのを幸いに、 次々に、桐乃にいやらしいことをするに決まっています!」 「………ふむ………(怒」 「お父さんも桐乃の事心配ですよねっ!?」 「当然だ………二人で一緒になることは認めてやったが、 俺の娘にいかがわしい事など、認めてなどやるものか!」 「そうですっ!ですから、私がお父さんの養子になって、桐乃と姉妹になれば、 堂々とお兄さんの監視ができるようになりますっ!」 「ふむ………いい考えだ。」 「是非お願いします!とりあえず、今日のところはこれで………」 私は計画を見事遂行できてとっても良い気分です。 これで、結婚式も桐乃と一緒ですし、新婚旅行だって桐乃と一緒です! ………何か大事な事を忘れてる気がするんですけど、でも、些細なことですよね! だって、桐乃と家族になれるんだもの! これでやっと………やっと一緒になれるねっ!桐乃っ! 265 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/26(土) 23 40 15.37 ID CJuy0GWc0 [3/3] オリジナルサイズ
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1684.html
683 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2013/04/12(金) 15 16 07.75 ID WO0cREL80 京介「なあ桐乃、お前パン作ったことある?」 桐乃「ハ、ハァ!? な、なんであたしがあんたのパンツ食べなくちゃいけないの!? あんな匂いの強いの食べるだなんて、そんな事できるわけないじゃん! シスコンすぎて頭おかしくなったんじゃないの? キモ!」 京介「いや、パンツじゃなくてパンの話なんだが…… というか結構ひどいこと言ったな、お前」 桐乃「パン……ああ、パンね。 それならちゃんと言ってよね。 勘違いしちゃったじゃん」 京介「普通勘違いしないと思うが…… んで、どうなんだ?」 桐乃「パンならたまたま偶然深い理由はないけどさっき作ってみたのがあるよ。 どうしてもって言うなら食べさせてあげなくもないけど」 京介「おお、くれくれ!」 桐乃「ん」スッ 京介「やっぱりパンは焼きたてに限るよな。 ……桐乃、これはパンじゃなくて――炭だ」 桐乃「……えっと、じゃあ炭火焼きチョコクロワッサン炭風味?」 京介「それも炭だ」 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1463.html
939 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/04/22(日) 10 27 46.64 ID qqoYkbTG0 ――何だこりゃ。 ふと気付くと、何やら異様な光景が目に飛び込んできた。 一度しか言わないから、よく聞いてほしい。 桐乃さんが、あほほどいる。 ――何だこりゃ! 異様どころじゃねえ! ウジャウジャいるこええ! あたり一面、桐乃さんで埋め尽くされている。 「――京介――」 …桐乃? おまえ、どこにいるんだ? 俺はどこから聴こえたかも分からないまま、歩き出した。 「桐乃っ!」 桐乃さんだらけの中、声がきこえてくる。 「お兄ちゃん、大スキっ!」 これは… エロゲのキャラか。ちげえよ、おまえじゃない。 「ふひひひ……みやびちゃ~~~~ん♡」 っておい桐乃!何っつー夢見てんだ!つかどこいんだ! 「京介って、桐乃の兄貴じゃね?」 そうだよメルルもどき。 「くららちゃんが! めるちゃんが! あたしの声やってるよおおおおおおおおおおおおおおおお!」 ちょ、おま……だからどこにいんだよ、桐乃! 「おにいちゃん、って、呼んだ方がいい?」 やめてくれええええええ! おまえに呼ばれてどうすんだ! 「……ばか兄貴」 俺は走り出す。 ……どこにいる? 桐乃! 「ウチのお兄ちゃんの方が、シスコンです!」 俺の妹の方が可愛いっつーの。 「『ビッチさん』のお兄さんでしょ?」 そうだがそうじゃない。ビッチさんて。殺すぞ。 「おにぃちゃん えへへ」 可愛いなくそ。いや可愛いけどさ。 「あーあ。 ったく――やれやれだぜ、しょうがねーな」 桐乃っ? 誰の真似だよ、ったく。どこだ! 「京介、あなたはどうするの?」 すまない。今、桐乃を探してんだ。桐乃っ! 「あたしは京介に彼女ができるのなんで絶対イヤ。 だけど、兄貴が泣いているのはもっとイヤ。」 ……桐乃っ! 「お兄さんっ!」 違う、どこだ桐乃は! 桐乃っ! 「ばかじゃん?」 「ひひ、まじきもーい」 「あのさ……」 「マジで? サンキュー!」 「うっさい! 死ね!」 「京介の邪魔すんなぁっ!」 『ウザイ! キモイ!』 『がんばれ』 「はいはい、言ってればー」 「は? 何様?」 「おかえり」 「――死ね」 「えー?」 「……桐乃おぉーーーーーーーーっっ!」 俺は背中に受けた衝撃で目を覚ました。 ベッドから落ちたらしい。 ……ヘンな夢見たな。 ベッドに腰掛けると勢いよく部屋のドアが開いた。 「京介! ど、どうしたっての?」 桐乃だった。 「いや、どうしたって… 寝てたらベッドから落ちた」 「はぁ? そ、そんだけ?」 「ああ、ヘンな夢見ててな…」 「ヘンな夢って?」 「いや……」 俺は黙って桐乃の顔を見る。 「な、何よ…」 「何でもね。つかおまえエロゲグッズ片付けてくれよ。」 「……片付けたじゃん」 「まだ全然残ってんじゃん」 「別にいーじゃん。てか朝から何事かと思ったら… あんたって本当人騒がせだよね」 テキトーな会話をしながら、俺はここに帰ってきたってことを 何となく実感していた。そういえば…… 「ただいま」 「は?」 「そういや言ってなかったなって」 「――ばかじゃん?」 そっぽを向く桐乃。 「おまえの新しい髪型、セット前だとそんななのな」 「んなっ…」 「でもやっぱ似合ってるわ」 「う、うっさい! ばか!」 素直に誉めたんだが、桐乃は顔を赤くして部屋から出ていった。 相変わらずだな…… と思った直後、あの時の自分の台詞を思い出して 照れくさくなってしまうのだった。 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/988.html
353 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/29(金) 18 15 52.42 ID c3cE1cFs0 [5/10] 333 かなかなってどのくらいから埋められちゃうんだろうね ・加奈子がちゃんと真面目に授業を受けてる ・授業中に加奈子がお昼寝してるときに「3うへぇ」と寝言を呟いた ・桐乃とあやせが二人で登校しているところに加奈子が混ざってきた ・桐乃のノロケ話に対して、桐乃をブラコンだとからかった ・桐乃と京介が仲良くしているところを加奈子と一緒に見かけた ・桐乃と京介の仲睦まじくしているところを加奈子と一緒に見かけた ・桐乃と京介のラブラブしているところを加奈子と一緒に見かけた ・加奈子が桐乃と京介の仲を応援した ・加奈子のせいで桐乃と京介が仲良くなった 俺の予想 加奈子「むにゃむにゃ」 あやせ(加奈子、授業なのにまた寝てる。 後で叱っておかないと・・・) 加奈子「・・・・・・3うへぇ」ボソ あやせ「・・・・・・」 ―放課後― 桐乃「あれ、加奈子は?」 あやせ「今日はレッスンがあるから先に帰ったよ。 ねぇ桐乃、今日は一緒にショッピングに行かない?」 桐乃「ごめん、あやせ! 今日はバカ兄貴と約束があるんだ。 あたしはすっぽかしてもいいんだけど、そうするとあいつ泣くからさ」 あやせ「そうなんだ。 それなら仕方ないね。 じゃあまた今度一緒に遊びに行こうね」 桐乃「うん!」 タッタッタッタッ・・・ あやせ「はぁ。もう一度埋めなおしてこようかな」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/610.html
417 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/04/24(日) 02 19 45.85 ID JRJtXi2CP 「はい。これあんたの分」 「おう」 俺たちは休日のアキバにいる。 あれ、前にもこんなことあったな── いつだったかな。 目の前にいる桐乃にそれを聞いてみようとした。 桐乃は、隣のチャイルドシートに座った子供の口に、 乳児食をスプーンで運んでいる。 「おい、桐乃…」 桐乃は聞こえないかのように、子供の面倒を見ている。 「パパ、何か言ってまちゅねー」 結局いつのことか思い出せないが、まあ、いいか── 「あ!あんた、来週の日曜日空けておいて。育児教室パパとママが一緒って言われてるの!」 「ん、あ、わかったよ」 相変わらず都合も聞かずに勝手に決めやがる。 「あんたは、一生私の人生相談に相手になるの!」 こんなプロポーズないだろ、まったく。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/493.html
776 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/31(木) 00 40 32.65 ID 5KQa3QyD0 SS『初恋』※切ない系注意 「きぃ〜りぃ〜の〜、はやくあるこ〜ぜぇ〜?」 「あ〜んもう、まってよ〜」 「加奈子、ちょっとは落ち着きなさい。もう、来年は高校生でしょ?」 「うっせー、まだ中学生だっての〜」 「もうっ、子供じゃないんだからっ!」 学校からの帰り道、いつものようにあやせと加奈子とじゃれあって帰る。 二人とも、いつものようにハイテンションだ。 「あ、あやせっ、そんなに怒らないで」 「桐乃がそう言うなら………でも、加奈子、ちゃんとしないと怒るからね」 「お〜こえ〜こえ〜、って、そういや桐乃ぉ、最近よくケータイいじくってね?」 「え、そ、そんなこと、ないよ?」 「だってよぉ?いまもケータイ見てにやにやしてんじゃん」 「え、えっ?」 言われて気付く。 タイミング悪く、あいつからのメールだ。 帰り道気をつけろよなんて、マジでシスコンっ! 「桐乃?私達とお喋りするの嫌いになったの………?」 「ち、違うって!友達から馬鹿なメールがきただけだって」 あいつからメールを受け取ってるなんて言えるものか。 あたしは、ほんの少しだけ嘘をつく。 「へぇ〜、あんなにやにやしてっから、ぜってー彼氏だと思ったしぃ〜」 「桐乃に、か、か、彼氏っ!?」 「ち、違うって、兄貴からのメールなわけがないって!」 「ん?う〜ん、何か会話がかみあってねー気がすんだよな〜」 「そ、それはそうと、桐乃の初恋っていつかな?私興味があるなぁ」 「えっ、初恋………かぁ………」 初恋………その言葉には棘がある。 成就しない、幼い………恋……… 「えぇ〜、桐乃なんてどーせもてるんだからよぉ?そんな話おもしろくね〜よ」 「そ、そうだね。それに、あやせ、加奈子。もう分かれ道だよ?」 「それじゃ仕方ないね。またね、桐乃」 「そんじゃなー」 「また明日ね。あやせ、加奈子」 それにしても、初恋………か。 家に帰り着いたあたしは、ふと、机に向かい、考えにふける。 頭の中に、何故か、明確なイメージが湧いてきている――― 「おにいちゃんおにいちゃん、つぎわ〜なにつくるの〜?」 「う〜ん、お山もつくったし、こんどはおしろだな!」 「うんっ!こんどはおしろ〜」 夕暮れの公園で、小さな男の子と女の子が、時間も忘れて遊んでいる。 男の子は、ふと、公園に据え付けられた時計を見た。 「あっ、まずいっ、もう六じだぞ?早くかえらないといけなかった」 「やだぁ、おしろつくる〜」 女の子の方は駄々をこねて、中々言う事を聞いてくれない。 男の子は、本当に困った顔をしている。 「こ、こまったなぁ、はやくかえらねーと、おやじにおこられちまうし……… そうだ!きりの、早くかえるならおんぶしてやるぞ!」 「えっ、おにいちゃんおんぶしてくれるの!」 「どうかな〜、きりのはおんぶとおあそび、どっちがいいかな〜?」 「きりの、おんぶがいいっ!」 「よ、よしっ!それじゃ………よいしょっ!」 男の子は、女の子をおぶって、家路につく。 男の子だってまだ小さいのに、自分より小さい女の子を泣かせないように、 必死で、さっき言った言葉を取り消さないようにと、歩んでいく。 「うわ〜、おにいちゃんちからもち〜」 「そ、そうだ………ぞ、お、おもくなんてないからなっ!」 「おにいちゃん、だいすきっ!」 暗がりの中、二人のイメージが薄れる。 次にあらわれたイメージは、さっきよりほんの少し成長した二人。 「ひゃっ、冷たいっ!」 「どうだっ、おれの水鉄砲すげえだろっ!」 「も、もうっ、おにいちゃぁん、つめたいよぉ!」 夏休み、二人でビニールのプールで遊んでいる。 男の子の方は手で水鉄砲をつくり、 嫌がっている、ううん、楽しんでいる女の子に、水をかけていく。 「も、もうっ、きりのもはんげきしちゃうよっ!」 「ふんっ!水鉄砲はむずかしいんだぜっ!できるもんならやってみなっ!」 「ふ〜ん、それじゃ、えいっ!」 「う、うわっ!?ぴすとるは反則っ!」 女の子は、隠し持った空気圧の水鉄砲を使って反撃していく。 女の子をちょっとでもいじめたバチみたいなもんだ。 「も、もうまいった、こうさんっ、こうさんだっ!」 「ふ〜ん、ほんとうかな〜」 「ホント、ホント、きりのにはかてないな〜」 「おにいちゃんっ、だいすきっ!」 熱い真夏の太陽のなか、二人のイメージが揺らいでいく。 次は………そうだ、これは家族でのピクニックだ。 降り注ぐ、赤と黄色の落葉の下、家族の明るい声がこだまする。 「きょうのおべんとうはね?きりのとおかあさんがつくったんだよ!」 「ふむ。桐乃もよく頑張ったな」 「おっ、このおにぎりおいしいなっ!それにこのからあげもっ!」 「あらあら、桐乃のつくったものばかりね。」 「そ、そうなのっ?」 「え、えへへ………」 男の子も女の子も、流れる紅葉の川よりも、顔が真っ赤に染まっている。 「きりのはね、おにいちゃんのおよめさんになるから、 りょうりもできるようにおべんきょうしてるんだよ」 「う、うん。」 「この子ったら、本当にお兄ちゃんの事大好きなのね〜」 「うんっ!おにいちゃん、だいすきっ!」 舞い散る紅葉が、紙吹雪のように二人のイメージを包み込む。 台所で、母と娘の声が聞こえてくる。 「桐乃、よく出来たわね」 「うん。よかったぁ」 台所には、中身が見えるようラッピングされたチョコレートが載っている。 手先が器用じゃない女の子が作ったのか、所々形はひしゃげてしまっている。 でも、それを見つめる女の子は、とても満足そうに見える。 「いったい誰にあげるのかしら?」 「ひ、ひみつっ!」 「そう?それじゃあ、お母さん、お兄ちゃんにチョコをあげよっかな〜」 「だ、だめっ!おにいちゃんには、きりのだけがわたすんだもん!あっ!」 「桐乃は本当に隠し事が苦手なのね」 「だ、だって、うそついちゃいけないんだもん!」 女の子は真っ赤になって、ちょっと泣き出しそう。たぶん照れてるんだ。 「ただいま〜」 「ほら、お兄ちゃん帰ってきたわよ?」 「う、うん」 女の子は慌てて駆け出していく。 「お、おにいちゃん、おかえりなさい。これっ、おにいちゃんにプレゼント」 「おっ、バレンタインチョコか?ありがとな、桐乃」 「う、うん!」 「でも、いいのか〜。バレンタインって一番大切な人にあげるんだぜ?」 「うんっ!きりのはおにいちゃんとけっこんするから、おにいちゃんにあげるのっ!」 「そ、そうか、てれるな」 「おにいちゃん、だいすきっ!」 家の周りでは、雪が降り積もり、仲の良い兄妹を覆い隠していく。 次にあらわれたのは、初めと同じ、公園だった。 二人は、また少し成長している。 「おにいちゃんおにいちゃん、つぎは、なに作るの〜?」 「う〜ん、砂遊びはこれくらいにして、別の事もしたいなぁ」 昼時の公園で、男の子と女の子が遊んでいる。 男の子は、ふと、公園に据え付けられた時計を見た。 「あっ、もう二時だ。あいつらと約束してるんだった」 「やだぁ、もっとあそぶ〜」 女の子の方は駄々をこねて、中々言う事を聞いてくれない。 男の子は、本当に困った顔をしている。 「こ、こまったなぁ、早くいかねーと、あいつらに悪いし……… そうだ!きりの、早くかえるならおんぶしてやるぞ!」 「えっ、おにいちゃんおんぶしてくれるの!」 「どうかな〜、きりのはおんぶとおあそび、どっちがいいかな〜?」 「あたし、おんぶがいいっ!」 「よ、よしっ!それじゃ………よいしょっ!」 男の子は、女の子をおぶって、家路につく。 自分の友達を待たせないために。 幼い女の子は、ただ、おぶってくれて嬉しいとしか思わない。 「うわ〜、おにいちゃんちからもち〜」 「そ、そうだ………ぞ、お、おもくなんてないからなっ!」 「おにいちゃん、だいすきっ!」 春先の曇り空の下、二人のイメージが薄れる。 次にあらわれたイメージは、さっきよりほんの少し成長した二人。 「ひゃっ、冷たいっ!」 「どうだっ、おれの水鉄砲すげえだろっ!」 「も、もうっ、おにいちゃぁん、つめたいよぉ!」 夏休み、二人でビニールのプールで遊んでいる。 男の子の方は手で水鉄砲をつくり、 嫌がっている、ううん、楽しんでいる女の子に、水をかけていく。 母親の声がした。 「京介ー、麻奈実ちゃんが遊びにきてるわよ〜」 「あー、今行くー」 突然、知らない人の名前を聞いて、女の子は不安そうな表情になる。 「おにいちゃん?」 「桐乃、ごめんな。後で麻奈実のやつのこと、紹介してやるからな〜」 男の子はプールを飛び出し、駆け出していく。 後に残された女の子は、ただ、男の子の居なくなった後を見つめ続けていた。 「おにいちゃん………」 急に雲に隠れる太陽に、二人のイメージが溶けていく。 次は………そうだ、これは家族でのピクニックだ。 でも、そこに男の子は、居ない。 「きょうのおべんとうはね?あたしがつくったんだよ………」 「ふむ。桐乃もよく頑張ったな。」 「え、えらいっ?」 「そうだ、えらいぞ。よく、がんばったぞ。」 女の子の顔は、流れる紅葉の川よりも、真っ赤に染まっている。 でもそれは、恥ずかしいからでは、ない。 「おかあさん、おにいちゃんどうしていないの?」 「行く前にもお話したでしょ?麻奈実ちゃんとの約束を忘れてたのよ」 「おにいちゃん、まなちゃんといっしょなの………?」 「ええ、そうよ」 「まったく、京介も困ったものだ」 女の子の目からは、大量の水滴がこぼれだし……… 「おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃん………」 紅葉の流れが一層強くなり、かき消されるように、イメージが消える。 台所で、母と娘の声が聞こえてくる。 「桐乃、前よりもよく出来たわね」 「うん。よかったぁ」 台所には、中身が見えるようラッピングされたチョコレートが載っている。 手先が器用じゃない女の子が作ったのか、所々形はひしゃげてしまっている。 それを見つめる女の子は、少し不満げに見える。 「いったい誰にあげるのかしら?」 「おにいちゃん!」 女の子は真っ赤になって、ちょっと泣き出しそう。たぶん寂しいんだ。 「ただいま〜」 「ほら、お兄ちゃん帰ってきたわよ?」 「う、うん」 女の子は慌てて駆け出していく。 「お、おにいちゃん、おかえりなさい。これっ、おにいちゃんにプレゼント」 「おっ、バレンタインチョコか?ありがとな、桐乃」 「う、うん!」 「それと、ほら!麻奈実から貰ったチョコレート見てみろよ!」 男の子の手には、袋に入ったチョコレートが握られている。 女の子の作ったものよりずっと立派で、たぶん、ずっと美味しい。 「さすがにさ、これは食べきれないだろ?だから、後でちょっと分けてやるよ」 「………うん」 「そうだ、こんどは赤城の家に行かないとなー。ちょっと自慢してやるんだ!」 男の子は、女の子のチョコレートをその場に置いて、 でも、別の女の子のチョコレートを手に持って、 またすぐに、家を飛び出して行ってしまう。 「おにいちゃん。だいすきなのに………」 家の周りでは、雪が降り積もり、仲の良かった兄妹を覆い隠していく。 これまでとは違うシーンが浮かんできた。 少し成長した女の子がたった一人、家の中でテレビを見ている。涙を流しながら……… 「おにいちゃん………おにいちゃん………」 女の子の見ているテレビには、若い女の子と、髭面の男が映っている。 「なんで………七夏ちゃんを見てあげないのよぉ……… なんでダメなのっ………妹だからってだけで………」 女の子の見ているテレビの画面が変わる。 さっきのアニメの………ラストシーンだ。 「七夏ちゃん、良かったね………おにいちゃんと結ばれて……… あたしも………七夏ちゃんみたいになれたら……… おにいちゃんが好きでいてくれたら………あたしの事、ちゃんと見ててくれたら……… あんな………あんなやつっ………大っ嫌いっ!!!」 目の前が真っ白になり――― あたしは、服が濡れてしまっている事に気付く。 そうだ、これが、あたしの初恋が終わるまでだったんだろう。 もう、自分が見向きもされて無い事に気がつかず、ずっと好きなままでいて、 当時はどうでも良かったハズのアニメで、ようやく気がついて……… でも、ずっと好き。 見つめて貰えない寂しさを紛らわすために、陸上を始めた。 見つめてもらうために、誰にも負けないように、勉強も、モデルも始めた。 妹モノのアニメや映画も沢山見た。数が少ないから、普通のアニメにも手を出した。 妹モノのエロゲーが有ることも知った。 兄と結ばれる妹になりきって、寂しさを紛らわせてきた。 でも………心の飢えは満たしてくれない。 今だってそう。 兄貴の事を、勝手にシスコン扱いして、気を紛らわしているだけ。 あいつの本当の気持ちさえ分かれば……… 本当に、あたしの事だけを見つめてくれれば、あたしは満たされるのに……… 満たされていたあの頃から、もう、長い年月が経ってしまった。 でも、あたしの心は、何一つ変わっていない。 『お兄ちゃん、大好き』 End. -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1236.html
873 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/01(火) 01 06 19.84 ID xPICIaKf0 【SS】田村屋さんの『はろうぃんふぇあ』 「いらっしゃいませ~」 わたしは田村麻奈実。 田村屋って和菓子のお店で売り子をしてるんだけど、 今日は『はろうぃん』だから、魔女の格好をしてるんだよー。 きょうちゃんにも 「相変わらずおまえはその格好が似合うな。 地味で古風な魔女って感じだぜ」 って褒められたんだよ。 えへへ~。 「これください!」 お店に来た、あにめに出てくる女の子の格好をした、小さな女の子がかぼちゃのお菓子を指差す。 「これだね? 130円だけど、仮装してるから30円引きで100円だよ」 田村屋は『はろうぃんふぇあ』の最中だから、仮装してお店に来ると、なんと全品30円引きなんだ~。 「はい!100円!」 わたしはお金を受け取り、かぼちゃのお菓子を包装して女の子に渡す。 「それと、これはお姉ちゃんからのさーびすだよー」 女の子に黒砂糖の飴玉を一つ渡してあげる。 「わーい! ありがとう、お姉ちゃん!」 「気をつけて帰るんだよ?」 手を振って女の子が出て行くのを見送る。 『はろうぃんふぇあ』のおかげか、今日はお客さんが多い。 「去年はきょうちゃんが手伝ってくれたんだよね」 去年はきょうちゃんが雑用を手伝ってくれたから楽だったけど、今年は桐乃ちゃんと約束があるからって断られちゃった。 きょうちゃんは今頃桐乃ちゃんと仲良くやってるのかな? ガララ そんなことを考えてると、次のお客さんがやってきた。 「いらっしゃいませ~ って、きょうちゃん!?」 扉を開けて入ってきたのは、きょうちゃんと桐乃ちゃんだった。 「よう麻奈実。繁盛してるか?」 「……久しぶりだけど、全然変わってないね」 きょうちゃんは片手を上げて私に微笑みかけ、桐乃ちゃんは店内を懐かしそうに見回している。 「う、うん。ふぇあのおかげでいっぱいお客さんが来てるよ?」 きょうちゃんが桐乃ちゃんと一緒に来たのも驚いたけど、でもそれよりも― 「ね、ねえきょうちゃん、その格好どうしたの?」 きょうちゃんは『すーつ』姿、桐乃ちゃんはなんと『うぇでぃんぐどれす』姿だったんだ! 「ああ、この格好か。 今日は桐乃と一緒にハロウィンのイベントに行ってきてたんだよ。 黒猫とかといっしょにな」 「そ、そうだったんだぁ。 でも、なんですーつなの?」 すーつって仮装じゃないよね? 「そ、それはだな……」 きょうちゃんが言いよどんでいると、桐乃ちゃんが隣から、 「このバカ、あたしのコスばっか気にして、自分がコスプレしないといけないこと忘れててさ。 急遽あたしが見繕ってあげたの」 桐乃ちゃんのことばかり考えて自分のことを忘れるなんて、きょうちゃんは相変わらずだね。 「でも、それでなんですーつなの? きょうちゃんはなんの仮装をしてるのかな?」 髪を後ろに流して、すーつをばっちりと着こなしてるきょうちゃんは確かに格好いいけど、 それだけで仮装になるのかなあ? 「ちっ。見てわかんないの?」 桐乃ちゃんはそう言うときょうちゃんの横にぴたりと寄り添う。 「おい、桐乃! またするのか?」 「だってこうしないとわかって貰えないでしょ?」 桐乃ちゃんは慌てた様子のきょうちゃんの腕を引っ張ると、そこに抱きついた。 「きききき、桐乃ちゃん!?」 え?え?え?なんで桐乃ちゃんがきょうちゃんと腕を絡めるの? 「ちっ、ニブいなぁ。 まだなんのコスプレかわかんないの?」 桐乃ちゃんはきょうちゃんの腕にしがみつきながら、真っ赤な顔でわたしを睨みつけてくる。 その様子を見て、わたしの脳裏に一つの答えが浮かんだ。 「も、もしかして…… 花嫁さんと花婿さん!?」 「せーいかーい!」 桐乃ちゃんが嬉しそうに言う。 「何の用意もしてなかった俺が悪いんだけどよ、流石に無理やりすぎるだろ? イベント会場でも、あんた一人だと誰もわからないからって、ずっと一緒に腕組むことになったんだぜ」 きょうちゃん、相変わらず桐乃ちゃんに振り回されてるみたいだねー。 でも、そう言うきょうちゃんは恥ずかしそうだけど、満更でもないみたい。 「うーん、はじめはわからなかったけど、そう言われると花嫁さんと花婿さんにしか見えないね」 「そ、そうかな?」 「うん。きょうちゃんのすーつ姿も格好いいけど、桐乃ちゃんのどれす姿もすっごい綺麗だよー。 二人ともお似合いだねー」 「……あ、あたりまえじゃん」 桐乃ちゃんが俯きながらぽつりと言う。 桐乃ちゃんも相変わらず遠回りに甘えてるんだね。 「でも、すーつ姿で花婿さんはやりすぎだと思うよ? 『たきしーど』姿とかできなかったのかな?」 「し、仕方ないじゃん!美咲さん、服を用意してくれそうな知り合いにも連絡つかなかったんだから。 だから、あいつに合わせるためにあたしもウェディングドレス着ることになっちゃったの! せっかく他に可愛いの用意してたのに……」 う~ん。 桐乃ちゃんの言うこと、少し嘘が混じっている気がするんだけど…… きょうちゃんもいるし、あまり追求しない方がいいよね? 「そ、それに!ただスーツを着せただけじゃないんだから! ほら、京介も左手出して!」 桐乃ちゃんはきょうちゃんに絡めてた腕を解くと、左手できょうちゃんの左手を掴みわたしの方に突き出してきた。 「ほ、ほら! これでちゃんと新郎新婦だってわかるでしょ?」 そう言う桐乃ちゃんと、照れて赤くなっているきょうちゃんの左手の薬指には、お揃いの指輪が嵌められていた。 「ええええええーーーー!」 それって結婚指輪だよね!? 「この指輪どうしたの、きょうちゃん!」 「イベント会場に行く前に渋谷に行ってな、桐乃に買わされた」 桐乃ちゃん、相変わらず『あぐれっしぶ』だね。 「綺麗な指輪だけど、高くなかったの?」 「買わされたって言っても、こいつが買ったのはあたしの分だけで、こいつの分はあたしが買ってあげたんだからね。 それに一つ三万円くらいのヤツだし」 三万円てすっごい高いと思うんだけど…… 「桐乃のヤツ、こういうのは完璧にこなそうとするからな。 まあ、ハロウィンフェアのおかげで仮装中なら20%OFFだったから幾分かマシだったけどな。 ……その代わり桐乃とのツーショット写真取られたけどよ」 まったく、あの姉妹はロクな事しやがらねえ、ときょうちゃんが呟く。 そのお店の店員さん、知り合いさんだったのかな? それにしても、桐乃ちゃんはすごく上手くやってるなぁ。 わたしもあやせちゃんも見習わないと。 「ねえきょうちゃん、きょうちゃんと桐乃ちゃんの仮装はわかったけど、 どうしてその格好のままわたしのお店に来てるの?」 「あーそれはだな、帰りに田村屋でハロウィンフェアやってるって言ったら、 桐乃がせっかくだしこのまま行ってみようかって言い出してな」 「きょ、きょうちゃんも桐乃ちゃんも恥ずかしくなかったの?」 わたしなら恥ずかしくて死んじゃいそうなんだけど…… 「俺はただのスーツだから恥ずかしくなかったぜ。 仮装してるヤツもそこそこ見かけたしな」 「あたしは恥ずかしかったけど、この服なら仕事の宣伝にもなるし別にいいかなって。 ……あの時と比べたら随分マシだし」 「そ、そうなんだー」 あの時って、きょうちゃんが自転車に乗って桐乃ちゃんを迎えに行ったって時の事かな? 二人とも、多分恥ずかしさが麻痺してきちゃってるんだね。 「なあ桐乃。せっかく来たんだし何か買っていこうぜ」 「そうだね。 あたし和菓子のお店に来るのは久しぶりかも」 きょうちゃんと桐乃ちゃんがでぃすぷれいを覗き込んでくる。 「うわぁ! 和菓子ってもっと地味な印象だったけど、結構可愛いんだね」 「田村屋の腕は凄いんだぜ。 ほら、これとかおまえ好みじゃないか?」 きょうちゃんと桐乃ちゃんが和気藹々と和菓子を眺める。 ……昔のことを思い出すなぁ。 前みたいに桐乃ちゃんと仲良くなれたんだね、きょうちゃん。 「お父さんとお母さんはこれとこれにして、あたしはこれとこれどっちにしようかな?」 「両方とも買えばいいんじゃねえか? せっかく割り引いてもらえるんだからよ」 「でも二つも食べたら太っちゃうし……」 「おまえは痩せてるんだから平気だろ?」 「はぁ?あたしはモデルなの。 これでもちゃんとウェイトコントロールしてるんだからね」 「へいへい。 それならこの二つを買って俺と分けようぜ。 それなら問題ないだろ?」 「う~ん。それでいいか。 でも、飾りは両方ともあたしのだからね!」 決まったみたいだね。 「じゃあこれとこれとこれとこれでいいのかな?」 「ああ」 「それじゃあ、割引して600円だね」 「ほらよ」 きょうちゃんからお金を渡され、れじにしまう。 「すぐ包むからね」 きょうちゃんと桐乃ちゃんに選んでもらった和菓子を丁寧に包んでいく。 えへへ~。わたしの作ったお菓子を選んでもらっちゃった。 美味しいって言ってくれるといいなあ。 明日感想を聞かないと。 「やっぱりこっちの方が良かったかな?」 桐乃ちゃんがでぃすぷれいを覗き込みながらぽつりと言う。 あ、桐乃ちゃんが気にしてるのもわたしが作ったやつだ。 「また今度買いに来ればいいだろ?」 きょうちゃんが桐乃ちゃんの腕を引いてでぃすぷれいから引き離す。 「そうしてくれると嬉しいなぁ。 また桐乃ちゃんにも会えるしね」 わたしはそう言い、和菓子の入った箱をきょうちゃんに渡す。 「……今日のが美味しかったら、また来てあげる」 桐乃ちゃんがぶすっとした顔で言う。 「桐乃ちゃんが選んでくれたのはわたしが作った自信作なんだー。 だから、きっと美味しいと思うよ?」 わたしが作ったお菓子を美味しいと思ってくれて、何度もお店に来てくれるようになったら、 それは凄い嬉しいな。 「……ねえ、もう行こ」 桐乃ちゃんはきょうちゃんの袖を引くと、するりと腕を絡めた。 「そうだな。 麻奈実、仕事頑張れよ」 きょうちゃんはもう片方の手に和菓子の入ったしっかりと箱を持つと、わたしに背中を向けた。 「うん。きょうちゃんもこれから頑張ってね?」 「?」 きょうちゃんはわけがわからないといった方に肩越しにこちらを少しだけ見た。 多分きょうちゃんはそのままの格好で家に帰っておじさんに色々聞かれたり、 桐乃ちゃんに変に甘えられたり、半分こした和菓子を桐乃ちゃんに『あ~ん』する事になると思うんだけど、 多分それは言わない方がいいよね? 「あ、そうだ、桐乃ちゃん!」 わたしは店を出ようとした桐乃ちゃんを呼び止める。 「なに?」 桐乃ちゃんは不機嫌そうにわたしの方を振り返った。 「これ、さーびすだよ。 桐乃ちゃん、たしかこのきゃんでぃー好きだったよね?」 かうんたーから出て、桐乃ちゃんにいちごみるくのきゃんでぃーを渡す。 「あ……うん」 桐乃ちゃんは素直にそのきゃんでぃーを受け取ってくれた。 「その……ありがとう、まなちゃん」 ほとんど聞こえないくらいの声で、桐乃ちゃんがぽつりと言う。 「えへへー。 どういたしまして。 それじゃあ気をつけて帰ってね?」 「ああ。それじゃあまた明日な」 帰るきょうちゃんの背中を見送る。 「……桐乃ちゃん、変わってなかったなぁ」 かうんたーに戻り一人呟く。 わたし、桐乃ちゃんに避けられてるみたいだから心配してたけど、桐乃ちゃんは昔のままなんだね。 ちょっと安心したな。 昔あんなことがあって、それから桐乃ちゃんときょうちゃんの仲が悪くなっちゃったから心配してたんだけど…… でも、これからは桐乃ちゃんともっと仲良くなれるよね。 それにしてもきょうちゃん、相変わらず桐乃ちゃんに甘いなぁ。 これからも「せっかく桐乃に貰ったものだから」って言ってあの指輪を毎日つけそうだけど、 それはさすがに考えすぎかな? きょうちゃんと桐乃ちゃんが仲良くなるのは嬉しいんだけど、最近ちょっと行き過ぎなんじゃないかって思う。 「……きょうちゃん、最後は誰を選ぶんだろう」 目先の答えだけじゃない、最後の答え。 きょうちゃんは黒猫さんを選ぶかもしれないし、あやせちゃんを選ぶかもしれない。 わたしの知らない誰かかもしれないし、その……わたしを選んでくれるかもしれない。 あるいは……桐乃ちゃんを選ぶかもしれない。 ガララ きょうちゃんが誰を選んでも、わたしはきょうちゃんが幸せになれるように頑張ろう。 そう改めて決意しながら、わたしはお店に入ってきた黒猫の格好をした可愛い女の子に笑顔を向ける。 「いらっしゃいませ~」 -END- -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1023.html
918 名前:【SS】パイナップルの効能[sage] 投稿日:2011/08/17(水) 14 18 52.59 ID 7rR6+S2m0 [2/4] 8/17はパイナップルの日。 桐乃「今日は酢豚か。 ねえ、何で酢豚ってパイナップルが入ってるの?」 佳乃「お肉を柔らかくするためよ」 桐乃「ふーん」 京介「ちなみに、他の家庭だとジャガイモは入ってないぞ」 桐乃「うそ!信じられない・・・ 酢豚のジャガイモ美味しいのに」 京介「本当だって。麻奈実んとこで初めて知って驚いたぜ。 あとで赤城にも聞いてみたけどよ、赤城んとこもジャガイモ入れてないってさ」 桐乃「そうなんだ・・・ 今度あやせとか加奈子にも聞いてみよう」 京介「ちなみに、麻奈実んところにはナッツが入ってたぞ」 桐乃「ナッツ? なにそれ、変なの」 京介「酢豚にカリッとした食感が増えて結構イケるんだぜ」 桐乃「ふーん」ヒョイヒョイ 京介(おい桐乃、俺のところにパイナップル移すな! 親父に叱られるぞ)ヒソヒソ 桐乃(平気だって。お父さん新聞読んでて気づいてないし) 京介(くそっ。 それなら俺はおまえにピーマンを分けてやろう)ヒョイヒョイ 桐乃(これピーマンじゃなくてパプリカだし)ヒョイヒョイヒョイヒョイ 京介(ああ!ピーマンを返すだけじゃなく、ジャガイモを取っていきやがった!) 桐乃(あんたのジャガイモはあたしが美味しくいただいてあげるから。 可愛い妹が喜んでくれてあんたも嬉しいでしょ?) 京介(・・・パイナップルに浸かって柔らかくなりやがれ)ヒョイ 桐乃(ハァ!?あたし元々柔らかし。 ほら)フニフニ 京介(うぉ!柔らけぇ! じゃなくて、俺が言いたいのは内面的な―) 桐乃(ほら、ここも)ムニムニ 桐乃(こ、こことか特に柔らかいでしょ?)ムニュムニュ 京介(~~~~!!)カァァァ 桐乃(う、疑うなら後で好きなだけ調べ―) 大介「おい二人とも」 京桐(バ、バレた!?) 大介「好き嫌いはいかん。 二人ともきちんと食べろ」 京桐(よかった、バレてない・・・) 京桐「はーい」 大介「それと」 京桐(!!)ビクッ 大介「俺は酢豚ではこのタレのかかったパイナップルが一番好きだ」 京介「え?」 桐乃「え?」 佳乃「ふふ。 相変わらずね、お父さんは」 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1140.html
15 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 15 32 23.40 ID ZPKrCpqC0 11 乙! きりりんに俺妹北米版を読ませたら「俺は妹が大好きなんだ」のあたりとか、なかなか文法構造が覚えられずに京介にしかたがなく何度も 質問しに行きそうだな 中学生には難しいからな 18 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 15 55 55.08 ID 4fUTV6RF0 [3/4] 15 「ねぇ、あんたさ、受験勉強してるんだから英語訳せるよね」 「まぁ大学受験程度の範囲なら」 桐乃はペーパーバックを広げる。何か付箋がいっぱいついてるな。 「これ、何って訳すの?」 「んー、『俺は妹が大好きだ』」 「・・・キモ」 何だこいつ? 桐乃は付箋が付けてある別のページをめくった。 「そ、それじゃこれは・・・?」 「これは『俺は妹を愛している』」 「・・・このシスコン」 「何言ってるんだよ訳してるだけだろ」 「それじゃこれは?」 「んー、えっ・・・・」 「早く訳して」 「『俺は妹とキスをしたい』」 「・・・いいよ」 21 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 16 25 33.33 ID vhWmGf5Y0 [3/7] 18 ちゃっかりと録音しているきりりんが目に浮かぶぜ! 桐乃「じゃあ次は英語に訳して」 京介「いいぜ」 桐乃「『俺は妹と妹婚します』」 京介「妹婚? なんて訳せばいいんだ?」 桐乃「わかんないから聞いてるんじゃん」 京介「あ~そうだな。 意訳でいいか?」 桐乃「うん。正確じゃなくていいから」 Kyosuke "I love you. Will you marry me?" 桐乃「!!!」 京介「こ、これでいいか?」 桐乃「う、うん!!」 京介「ところでよ、その、返事をもらっていいか?」 桐乃「えっと・・・・・・ごほん」 Kirio "Sure! I love you too!" -------------